閉じていたら、いないのと同じ

AIに「探してもらう」時代

先日、ある企業の方と話していて印象的な言葉がありました。「これまで自前で抱えてきたデータを、もっとオープンにしていかないといけない」。長年、自前主義で成長してきた会社が、社内から変わろうとしている。

背景にあるのは、AIの進化です。AIエージェントが人の代わりに情報を探し、比較し、最適な選択肢を提案する。そういう時代はもう来ています。ある海外の記事には「AIエージェントに見つけてもらえなければ、存在しないのと同じだ」と書かれていましたが、私も本当にそう思います。

データを抱え込むことが強みだった時代から、つながることが強みになる時代に変わりつつあるのだと感じています。

サイエンスだけでは見つけてもらえない

この話は、食品メーカーさんにとっても他人事ではないと思います。

論文を発表し、学会で報告し、機能性表示の届出もしている。サイエンスベースの発信は、皆さんしっかりやっていると思います。

ただ、AIが探しているのは論文だけではありません。生活者がAIに何かを聞くとき、成分名ではなく「最近おなかの調子が悪い」「便秘がつらい」といった症状や悩みの言葉で聞きます。そしてAIは、その症状に対してどんな成分が合うのか、実際に試した人はどう感じたのか、どんな生活習慣の人に合っていたのか、そういったインサイト――生活者の文脈に根ざした情報を探しに行きます。

企業はサイエンスベースで発信する。でもAIはインサイトベースで情報を拾い、生活者に届ける。このギャップが広がりつつあるのではないかと感じています。エビデンスに加えて、生活者の実感や文脈がオープンになっていないと、AIには見つけてもらえない。せっかくのいい素材が、閉じたまま埋もれてしまう。

ウンログも、開いていく

ウンログ自身も、同じ課題に向き合っています。

ウンログには、ユーザーが日々の記録を通じて積み上げてきた「個別智」があります。個別智というのは、自分の体で試し、うまくいったりいかなかったりしたプロセスから生まれる「個人の経験からくる知恵」のことです。ある食品を摂ったらおなかの調子が良くなった。この生活パターンだと不調になりやすい。そういう一人ひとりの体験の中に、サイエンスだけでは拾えないインサイトがたくさん眠っています。

この個別智を、適切に匿名化し、文脈を整え、社会に還元できる形にしていくこと。サイエンスとインサイトをつなぐ存在になること。それがこれからのウンログの大きなテーマだと考えています。

閉じていたら、いないのと同じ。

今週のひとりごとでした。


田口のひとりごと
ヘルスケアマーケティングの現場から

ウンログ代表田口が、商談の現場で感じたことや、うまくいった/いかなかった話しを、少しだけ言葉にしてみるコラムです。

【田口 敬 プロフィール】
ウンログ株式会社 代表取締役。
マーケティングコンサル、新規事業立上げ、Webエンジニアを経験し、2012年にウンログアプリを個人開発しリリース。2013年にウンログ株式会社を設立。ユーザー起点のたのしくわかりやすいUI/UX開発と確かな腸活情報発信にこだわり120万DLを突破。現在まで300社以上の食品メーカーの腸活マーケティングを支援。