AIが健康データから商品を選ぶとき

AIは、何に最適化されるのか

今週も、AIと健康のことを考えていました。

ウェアラブルやヘルスケアアプリに貯まった健康データをAIに渡すと、AIが分析して、自分に合いそうな食品や商品を教えてくれる。こういう使い方はもう当たり前になりつつあります。

この先は、AIに頼まなくても勝手に提案してくる、必要なものを買っておいてくれる、というところまで進んでいくのだろうと思います。

その時に気になるのは、AIが何を根拠に選んでいるのか?です。

研究の情報なのか、売れている順なのか、その人自身の記録なのか。あるいは、誰かが売りたい商品なのか。検索の順位、通販サイトの売上ランキング、SNS広告と続いてきた流れを考えると、次は「AIに勧めてもらうにはどうするか」がマーケティングの主戦場になるのかもしれません。

AI推奨の仕組みそのものが、新しい売り場になっていく可能性もあります。

AIが推奨する「あなたに最適」とは、何に対する最適なのか

AIが最適なものを勧めてくれる、とよく言いますが、その「最適」は、何に対する最適なのでしょうか。

健康の数値を良くすることを最大にするAIと、使い続けてもらうことを最大にするAI、買ってもらうことを最大にするAI、その時の満足度を最大にするAI。同じ健康データを見ても、返ってくる提案は変わるはずです。そして、どれを目指すのかを決めるのは誰なのか?ユーザー自身なのか、AIプラットフォームの設計者なのか。(ユーザーの自由はあるのか)

私の想像では、多くのサービスは「使い続けてもらうこと」を外さないと思います。断られ続ける提案では、人は使うのをやめてしまうからです。だとすると、受け入れやすさは、かなり重い指標として効いてくると思います。

今、買い物は、買えるかどうかの予算感(=安さ)が前提にあって、次においしさがあって、健康はその後ろ、という順番が多いのではないでしょうか。健康は気にしないという人も一定いるかと思います。

私自身の買い物も、毎回健康が先に来るわけではありません。もしAIに健康だけど高いものばかり提案されたら、私はAIに提案ロジックを変更するように言うと思います。

そう考えると、企業がこれまで一生懸命に作ってきた、手に取りやすい値段でおいしい商品(健康より安さとおいしさ)は、提案から消えるどころか、むしろ残っていくのかもしれません。

AIは、好みの外まで勧めてくれるのか

受け入れられた提案が学習されて、次の提案がそこに寄っていく。どんどん、勧められるものは自分の好みの範囲に近づいていくのかもしれません。その範囲の中で、いちばん良いものを選んでもらえる状態です。もしそうだとすると、今のSNSの世界とよく似ていますね。

それは心地よいとは思います。でも気になるのは、自分の外側との接点が減っていくことです。人の場合、偶然の出会いがあったり、店員さんやお医者さんや友人の「試してみたら」の一言で世界が広がることがあります。騙されたと思ってやってみたら、意外とよかった。みたいなこともありますよね。

AIは、そこまでやってくれるのでしょうか。「これまで選ばなかったけれど、あなたには合うかもしれない」と、好みの外側を見せてくれるのか。それとも、外さないことを優先して、だんだん似た提案に寄っていくのか。もちろんAIに一定量は偶然の出会いが欲しいから好みじゃないものもいれてね、と依頼しておけばいいところまではいくかもしれませんが。

最後に

何を選ぶかをAIに任せるのは、便利だと思います。私もきっと使います。

ただ、自分に合うものを選んでもらえることと、自分では選ばなかったものに出会えること。その両方を、AIに求めることはできるのでしょうか。

もっとも、そう考えるのも、自分の体を自分で知ることを仕事にしている私に、都合のいい話なのかもしれません。

今週のひとりごとでした。


田口のひとりごと
ヘルスケアマーケティングの現場から

ウンログ代表田口が、商談の現場で感じたことや、うまくいった/いかなかった話しを、少しだけ言葉にしてみるコラムです。

【田口 敬 プロフィール】
ウンログ株式会社 代表取締役。
マーケティングコンサル、新規事業立上げ、Webエンジニアを経験し、2012年にウンログアプリを個人開発しリリース。2013年にウンログ株式会社を設立。ユーザー起点のたのしくわかりやすいUI/UX開発と確かな腸活情報発信にこだわり120万DLを突破。現在まで300社以上の食品メーカーの腸活マーケティングを支援。